2010年08月01日

居場所がない

「うわっ!」
薄暗いスタジオのドアを開けた途端、僕の視界が、サーチライトのような強い光で真っ白になって、僕は思わず悲鳴を上げた。

笑い声が響くとともに光が消えると、大型のライトを抱えた玉置浩二が身をのけぞらせて喜んでいる姿が見えた。昔からコイツのいたずら好きは変わらない。いい加減にしろよ、などとぶつぶつ呟きながら僕は席に着く。

安全地帯のメンバーが揃ったことを確認して、玉置が急に真面目な表情となって円卓を囲む一堂を見回した。
「さて、早速だが、今回の再結成プロジェクトについて俺から説明をしたい」

隣のメンバーが手許のレジュメを繰りつつ、僕に話しかける。
「おいコピ(実際はここは僕の本名)。正直、俺は納得してないんだ。どうしてお前の代わりとしてサポートメンバーをステージに上げる必要があるんだ?」
そう言って、彼は玉置の横に座っている男のほうを顎でしゃくった。そちらを見やると、見慣れない男が、作ったような神妙な表情で黙り込んでいる。

「俺たちは昔からの仲間じゃないか、そうだろ?」僕に話しかけてくれたメンバーの表情はそう言っていた。僕を挟んで反対側に座るメンバーも、その通りさ、というような表情でうなずく。

彼らの気持ちはありがたかった。でも、だからといって、楽器ができない僕がステージに上がったところでなあ。そもそも、どうして昔からの仲間だっていうのに、僕はコイツらの名前が思い出せないんだ。こちらから話しかけられないじゃないか。

どうしていいのかわからず、僕は手許にある今度のコンサートのパンフレットに目を落とした。最後のページにメンバーのリストがある。一番上にはもちろん「玉置浩二 ボーカル」の記載。僕の名前はメンバーとサポートメンバーの境目にあった。「コピ 賢人」。・・賢人か、なるほど、これなら確かに楽器を持って演奏しなくていい。玉置は玉置なりに僕のことに気を遣ってくれてるんだな。その配慮に僕は感謝した。

その間にも玉置の説明は進む。
「・・という事情もあり、やはりここはサポートメンバーの彼をステージに上げるべきだと思う・・」
みんなの表情を眺めると、目を瞑って無反応な者、沈痛な表情でうつむくもの、媚びるような目で玉置を見つめる者。誰一人として同じ顔をしているものはいなかった。

そういえば、解散前の僕はどういう役割だったんだろう?我がことながら、どうしても自分の過去が思い出せない。焦る気持ちを抑えかねて、僕は机の上にあった20年ほど前の自分たちのコンサートのパンフレットのメンバーリストを見てみた。

「コピ 器械体操」

そうだったのか、器械体操だったのか。ステージ上で器械体操。「モーレツしごき教室」みたいなものか?しかし、僕は器械体操なんかやったこともないんだが・・。

と今朝の夢はここで目が覚めました。お母さん、僕は深く疲れているようです。
posted by コピ at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 分類不可能 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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